キミが好きだよ

この時間が ずっと続くならいいな

破門 ~ふたりのヤクビョーガミ~

 ああ、横山くん映画初主演なんだね…。ようやく実感が湧いてきた。 舞台で主演をしたあの時間が宝物だと言っていた横山くん がわたしにとってもずっと大切な宝物で、その時はこれ以上の幸せはないと思う程だっだから。 まだその気持ちでいっぱいで、今でもユタカくんに想いを馳せる時があって。 でもあの日から当たり前のことだけど進んでいて、横山くんはまた新たな扉を開いて…。 そんな世界がとんでもなく嬉しくてかっこよくて大好きなのと同時に、少し怖かったのかもしれない。

 

 2015年10月19日。 これが、破門の主演が横山くんだと知った時にすぐ書いたわたしの正直気持ちでした。

 記念すべき横山くんの初主演舞台 ブルームーン が無事幕を下ろしてから、約3ヶ月半後のこと。 その時はまだ、ずっと ブルームーン に浸っていたし、あの幸せな空間から抜けられなかった、抜けたくなかったから。 横山くんが次の役を演じることで、ユタカくんが本当にいなくなってしまいそうで。 余韻に浸っていたわたしは 嬉しさ と 少しの切なさ を抱いていたのです。

 

 だけど、どんどんと進んでいく横山くん。 宣伝が始まるにつれて、蔵之介さんに褒められている姿や、後輩の濵田くんに話題をふったりツッコんだり一緒に笑ったり 先輩として引っ張っていく姿、いつも「頑張りますね」と教えてくれること、作品を盛り上げようとする熱意、色んな番組やイベントで 主演映画を背負ってスッと凛々しく立ち、話す人の方にいつも身体ごとちゃんと向いて頷く横山くんは、かっこよくて 嬉しくて 大好きだなぁ と思うことしかなかった。 舞台の時より宣伝の機会が多いこともあってか、自分から話すこと、昔のこと今のこと未来のこと、蔵之介さんから聞くこと、楽しそうな姿も くるしくて大切なあの日の話を噛み締めながらひとつひとつする表情も、沢山の横山くんを知ることが出来たのも大きなこと。

 横山くんが「お客さんに見てもらうまで不安」だと言っていたのを聞いて、横山くんはいつもそうして、ひとつが無事に終わると、怖くてもまた立ち向かっているんだって。 そう思うと、わたしもユタカくんをキラキラ光る宝箱にしまって、一緒に次の冒険に連れて行ってもらおう、新しい世界が来るのを心から楽しもうとだんだんと思えるようになりました。*1

 

 

 横山くんと蔵之介さんの長期間のプロモーションが続いて、やっと 破門 が公開された。 (この時にはもう 破門 を観るのが待ち遠しくなっていて、「やっと」という気持ちでした。)

 

 ありがたいことに プレミアム試写会 に誘って頂いて 公開日よりも前に見ることができた。

 映画を見る前に、横山くんが映るシーンが沢山詰まったなぐりガキBEAT × 破門 の映像が流れて、それが終わると登場するキャストと黒川さんと監督。 この映像を小さい携帯の画面で見て泣きそうになっていたと言う蔵之介さんと、僕も関ジャニ∞の一人だけど 主題歌がいい曲、関ジャニ∞に背中を押してもらっている 応援してもらっているみたいだと言った横山くん。 撮影から長い時間が経過し、やっと皆に見せることが出来る という2人の感動している面持ちと、緊張する姿と気合いと意気込みに、この映画への熱意や 盛り上がるかどうか 盛り上げていきたいという責任感がひしひしと伝わってきた。

 「僕がやらせてもらった映画を関ジャニ∞が後押ししてくれている」。 ある雑誌に書いてあった言葉。 これが横山くんの根底にあるから、もっと頑張ろうと思えたり、やってやろうって思えたんじゃないかな。 なぐりガキBEAT は、映画だけでなく、横山くんを支え奮い立たせる大切な心強い曲。 エイタメ での 自信に満ち溢れたトランペット演奏 と 演奏し終わり笑顔で歌い踊る横山くん を見ているだけで それはくるしくなるほど伝わってきて、忘れられない大切な光景になりました。

 

 

 本編を見終わって一番に思ったのは、映画の中で横山くん演じる二宮さんが 振り回されながらも沢山愛されているという事。

 実家に帰ると「家賃ちゃんと払えてんの?」「ごはんは?」といつも心配してくれるお母さん、「啓坊」と 小さい頃から可愛がってくれている嶋田さん、「いとこじゃなかったら啓ちゃんと知り合ってなかったと思うわぁ」と言いながらも 桑原さんに引きずり込まれていく二宮さんを心配してどうにか助けようとする悠紀ちゃん。 そして、嶋田さんに息子を託したお父さん。 いろんな愛に包まれていて、見えないところで守られているみたい。

 桑原さんが「一蓮托生や」と言って二宮さんをコンビの相方のように連れ回すのも、二宮さんは嫌がるけれど ひとつの愛情なのかもしれない。 桑原さん自身にとって二宮さんは、仕事のパートナーで、映画の出資を持ち出してきた厄介な相手でもあるけれど(その事を隠していたのに取り上げたのは桑原さんだけど)、嶋田の兄貴が可愛がっている子は、兄弟のようでライバルのようで。 二宮さんの 桑原さんへの達者な言葉に本気でキレることはなくて。 使いっ走りをさせるのに、命の危険にさらされると「はよ逃げぇ!」と二宮さんを真っ先に逃がそうとする。 二宮さんは最初、恐怖心から桑原さんのことを考えず 置いてただ逃げるだけだったし、桑原さんは 二宮がカタギだから面倒なことにならないように、そして自分自身が逃げやすいように車で待機させるために その場から早くいなくさせたかっただけなのかもしれない。 だけど その姿を見た時、桑原さんがそこまで悪い人ではなさそうだということと、二宮さんに対する想いが見えた気がしたのです。 桑原さんをよく知り慕うケンくんが言うように、「兄貴は裏表がないし、行く時は自分が行く」人だから。

 伏線にもなっている「お前、わしのこと嫌いになったんか?」という言葉が、冗談のようで本気のようで。 桑原さんの心の中の本当のところはわからないけれど、極道の前に 一人の人間なんだなと思わせた。 

 ぐーたら貧乏な二宮さん。 だけど、その沢山の愛の中でぐーたらしている。 お母さんに対する態度や時折見せる心の中から 周りに頼っていることを二宮さんは情けないと感じ 心の中でもがいていることがわかるけれど、周りの人が二宮さんのことを支えて守りたいということが見てとれるから わたしはその二宮さんのぐーたらしているところも その葛藤も 安心できて 面白い と思いながら観ることができている気がした。

 

 桑原さんに押し付けられて嫌がる二宮さんだけど、文句は言うものの 断れずにずるずるとしているところがお人好しの二宮さんだなぁって。 少し、少しだけ、二宮さんが ガキ使での 蝶野さんから逃れられない方正さんに見えた時があった。 すごく嫌がるけれど、最終的にはやらされてしまうところ。 とても可哀想で、だけど、逆らえないという気持ちと それを頑張って受け入れようとする 弱そうに見えて実は強い心が見える瞬間。

 桑原さんに対しては、「いざとなったら頼るくせに、腹ん中ではアイツをバカにしてる」と言うほど、突き放したいけれど、思ったことを言えないし、破門された後 いなくなったらいなくなったで どうなったのか気になってしまう。 桑原さんのカラオケ中の 二宮さんのスパゲティを食べながらするやる気のない上辺だけの手拍子が、桑原さんへの気持ちを物語っているようにも見えた。 だけど最終的には 葛藤して 逃れられない桑原さんを助けに行く二宮さん。 「コンビちゃいます」と言ったけれど、やっぱりどうもがいても離れられない厄介で気になる人。 嫌いだけど芯の通った人だとは認めざるを得ない人。 2人の 合っているようで合っていない掛け合いが、時おり 可笑しくも可愛らしくも見えた。*2 だけど実際の横山くんと蔵之介さんは、その2人とは裏腹に息があっていて。 「頼りになる弟です」と言った蔵之介さん。 そんな信頼しあった兄弟みたいな2人だから、あの絶妙なバランスがとれたのだと思った。

 

 そして もうひとつ感じたことは、そこに映る二宮さんが、どこかユタカくんに似ているということ。

 ある相手を気にして もやもやそわそわしているところ。 口では文句を言いながらも 感謝や大切なことはなかなか口に出せないところ。 最初は自分のことばかり考えていたのに 誰かのために何か行動しようという気持ちになるところ。 人間らしくて お人好しなところ。 心の中の自分を変えたくて、葛藤して、最後には決心を固めるところ。

 

 『pict up』での蔵之助さんとの対談で、ソーセージを食べるシーンは横山くんがぐーたら感を出すためのアドリブだったという話を聞いて、ユタカくんもお煎餅をそんな風に食べていたなと、ふと思い出した。 性格や家庭環境だけでなく、演じるその雰囲気も ユタカくんと二宮さんは少し似ているんじゃないかなぁなんて。 ユタカくんも二宮さんも 同じ横山くんが演じているけれど、全く違う人にちゃんと思えるのに 似ていると感じたのは不思議な気持ちでした。

 二宮さんが足の爪を切ってその臭いを恐る恐る嗅ぐシーンが、一瞬ではあるけれど 人間くさくてすごく好きで、それも横山くんが出した案なのかなぁ、なんて。

「(芝居の中で)相手の会話をちゃんと聞いているかどうか」。演出家の鈴木裕美さんが横山くんに言った言葉。 たまにその時の台本を見返すことがあると言った横山くん。 ブルームーンの「生」での経験が根底にあって、そこから そういったアドリブへと繋がった理由のひとつだとしたら、ひとつひとつモノにしていく横山くんがかっこよくてたまらないし、ブルームーン は横山くんにとっても、どれほど前に進んでも 時には戻ることができる、いつまでも心の中にある宝物の思い出なんだとわかって嬉しかったんだ。 勝手だけど、このわたしの気持ちも 決して間違いではないって 言ってもらえたような気がしたのです。

 二宮さんとユタカくんは全く違う世界の人なのに、横山くんを介して繋がっている気がして、それが嬉しくて嬉しくて。 

 

 ブルームーン の中でも、ルミさんが来るとその隅にいるユタカくんの表情を見てはドキドキしたように、破門でも 中心で他の誰かが何かをしている時に傍らに映っている二宮さんの表情は豊かだった。

 バイオレンスなシーン、二宮さんがそこにいるだけで 怖い気持ちから逃げ場ができるような、中心から目を逸らして二宮さんを見ることで 安心して落ち着ける居場所になっていた。 菜箸やボールペンを見るのが痛々しくて怖かったけれど、その時は、怖がって呆然としていたり、「やめた方がいいですって!」と慌てて止めたり 私達と同じような表情を浮べている二宮さんを見るのです。 決してこの世界が普通でないことを二宮さんは知っていて、それが安心感に繋がって怖さが少し和らぐ。 初めて撮影したシーンが 乱闘シーン だと。 迫力があって圧巻されたと言っていた横山くんを思い出しながら見ると、尚更、演技でありながらも本物に近い迫力が伺えるし、二宮さんの表情もリアルに感じた。

 台詞がなく表情だけで、怖さや複雑さをみるみるうちに表現する横山くんを見て、凄いなあ流石だなあ と思ったし、この時 二宮さんは何を考えているのだろう、と 二宮さんの心の中をその表情から理解したい と いてもたってもいられなくなっていました。*3 二宮さんの全てに虜だった。

 

 破門で流れる音楽もワクワクできてとても好きでした。 オープニングでの 飛んでいるのか落ちていっているのかわからないと言う二宮さんの後ろで流れる 漂うようなピアノの切ない音、そこからタイトルが出ると同時に聞こえてくる 迫ってくるような耳から離れない破門のあの音楽。 二宮さんが事務所にいる時の 少し間の抜けたような音楽。 桑原さんがいると聞こえてくるおしゃれでジャジーな音楽。 乱闘が始まりそうになると聞こえる緊迫した音楽。

 その音楽が物語に合わせて止まる瞬間が特に好きで 。 恵美の家での乱闘シーンで流れてくる、オープニングでも聞こえてきたあの差し迫る音楽が、車に乗った桑原さんが煙草を吸い その息をはいたと同時に止まる。 緊張して張り詰められていた空気が桑原さんの一服と同時に一瞬にして切り変わる。 そして、桑原さんが好きでカラオケでも歌っていた「There's no matter with you」。 それが流れながら目に訴えかけてくる最後の乱闘シーンは、綺麗な音楽と血生臭い乱闘のギャップが異化効果となっている気がした。 怖いシーンなのにその音楽によってどこか美しく見えてしまう。 車の中での二宮さんの葛藤シーン、エンジンをつけると流れてくるその音楽と共に聞こえてくる二宮さんの頭の中の声たち。 その音楽が聞こえるから少し優雅に時が流れているように感じるけれど、実際は差し迫った時間を要する大事な選択をしている二宮さん。 二宮さんの「あーーー!!!」という声でその音楽は終了し、車で駆け抜けるスピード感溢れる画に。  緩急が気持ちよかった。 気持ちやシーンが変わる時、登場人物が指揮者のようになって音楽も変わっていく、その 物語と音楽の一体感 が心地よくて大好きでした。

 

 エンディング、2人の乗る車が スナック キャンディー から出て行った後、それを見送る真由美さんを見守りながら カメラが徐々に上を向き空が映る。 2羽の鳥が画面に映ったのは偶然のミラクルだったという事が嘘なんじゃないかと思うくらい、どこまでも一緒に飛ぶコンビのような2羽が 桑原さんと二宮さん のように見えた。 人も何も映らず空だけ映るあの時間、観客全員が一緒に空を見て、今 目の前で起こった物語をそれぞれに思い返すことができる空間が心地よくて好きでした。

  「俺は今、飛んでんねやろうか、それとも落ちて行ってんねやろうか、ま、どっちも似たようなもんか」と、オープニングの もがいて苦しんでいた夢の中での自分自身の投げかけに答えを見つけたように終わるこの物語。 その答えから、桑原さんに「ずっと前から 嫌いですわ!」と伝えられて少し気持ちが楽になったことと、「気が合うのぅ、わしもや」と言った桑原さんから何を言っても何をしてもどう頑張っても逃れることは出来ないんだと二宮さんが悟ったことがわかった気がした。

 運転する二宮さんと その隣でシートを倒して座っている桑原さんが乗る車が、またどこかに辿り着き一難起こすのではないかと想像してしまう。 香港へ行った2人の結末、小清水や恵美の行方、破門された桑原さんが今後どうなるのか、二宮さんの将来、2人のこれからの関係、知りたい、気になることが沢山あって、続きを期待してしまうのです。 いつかまたどこかで、離れたくても離れることができない凸凹な2人に会えるその日を信じて 待っています。

 

 まだまだどこまでも止まらない 横山くん。 初主演舞台 ブルームーン から 色んな経験を積んでパワーアップした横山くんが演じる次の舞台「上を下へのジレッタ」がどんなものになるのか、期待に胸を膨らませています。

 その舞台の為に「今、しんどいっす(笑)」と言いながらも、座長としてお稽古を頑張る横山くんを心から応援させてください。 また新しい姿を見れることを嬉しく思います。 

 ひとつひとつの作品が終わる毎に思うことはいつも、かっこいい と、沢山の ありがとう です。 これからもいろんな景色を一緒に見させてください。

*1:その前に ドラマ ON の出演もあって、この複雑な気持ちも薄れて、楽しみ の気持ちが沢山だったけれど。

*2:エレベーターや空港でのシーン、噛み合っているようで噛み合っていないのがじわじわと伝わってくる好きなシーンだった。

*3:特に、桑原が不動産屋の金本の首を電話のコードで絞めた後、何回か会話を交わした後に映る 立ち尽くしている二宮さん はあの時どんな気持ちだったのでしょう。